2011年7月19日火曜日

暫定内閣

 暫定という言葉を良く聞く。ボクシングで言えば暫定チャンピオンとか、最近であれば、食品に含まれる放射能の政府暫定基準値、といった具合だ。この暫定という言葉は「正式ではなく仮に」という意味で使われる言葉だと思う。
 今、放射線のセシュームに汚染された牛肉が、実は、全国の流通網で出回り、既にその大半が消費された疑いが強くなりました。3月11日の東日本大震災によって引き起こされた、福島第一原子力発電所のベントと水素爆発によって、日本の大気中に飛散した放射性物質のおおよその量は既に推定されていると思うのですが、私達がそれを正確に認識するほどの情報を、何処からも受け取っていません。マスコミを含めた報道機関が、細切れで雑多な情報は色々出してくるものの、いずれも日々のトピックスとしての報道姿勢に終始し、翌日にはもう他の違った、如何でもいいようなニュースに移っています。
 しかも、今の政府が国民に向かって、真実の情報を開示する事に躊躇したとすれば、益々、私達国民は本当の事を知る事が難しくなります。そんな事を言うのなら、自分で調べれば良い、と言うかもしれませんが、一般の生活者でそこまで出来る人はとても少ないのが、現状ではないでしょうか。
 そこで「暫定」なのですが、聞くところによると、ソ連のチェルノブイリ原発事故の折に定められた輸入食品の放射能基準が、今迄、正式な基準として改定される事無く続いているというのです。これを聞いて、何と歴代の内閣や霞ヶ関の省庁は怠慢な国家運営を続けてきたことかと、改めて驚かされます。
 しかも、現内閣は、原発事故と言う未曾有の重大事故に、驚きうろたえて、様々な危機対応に於ける適切な判断を失念した節があります。
 第一に、国民に真実を報道することによる国民の動揺を過度に恐れたのか、小さな頭で、当初情報開示事態にブレーキを掛けたと思われます。その事は、後から判明してくる様々な事実によって明らかになってくるのです。
 放射性物質に汚染された稲わらが、福島げんぱつの事故現場から遠く離れた地点で刈り取られ、肉牛農家に出回っていた事実は、事故後のそれら農家に対する緊急できめ細かな情報伝達がなされていれば、防げた可能性が大きいと思われます。この汚染牛肉が全国に出回り、一般の人々の消費に当てられたという事は、現在の政府や関係省庁の危機に際した対応能力が、決定的に不足していると思わざるおえません。しかも、一般の人が通常口にする量では、特段に健康に影響する事は無い、と以前どこかで耳にした理屈が述べられているのです。しかし、その事を我々は検証する術も持ち合わせていません。
 食品に含まれる放射能物質の暫定基準については、何時まで暫定なのかと、問われても致し方ない事実だと思うのです。ここもとの政治の現状を見ていて思うのですが、日本では何時まで暫定内閣が続くのでしょうか。

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