2011年4月23日土曜日

漠然とした不安

 新聞紙上で伺える状況を見ていると、なんとなく日本社会の先行きに不安な気持ちが沸いてくるのです。3月11日の東日本大震災から40日以上が過ぎました。岩手、宮城、福島3県を中心に死者、行方不明合わせて28.000人近い人的被害が出て、三陸海岸沿いの市や村が壊滅しました。そこに、追い討ちをかける福島第一原子力発電所の事故です。被災地の人達は、肉親を失ったり、家屋など生活の基盤を全て津波に持っていかれて、当座は、途方にくれたものと思います。しかし人は強いもので、時間と共に、復活の動きを始めています。私も2007年の阪神淡路大震災を経験しましたが、大きな被害を免れました。しかしその時は、何か呆然として、事態の理解に一瞬、と惑いを覚えたものです。地震発生後しばらくで、神戸の市街は火の海でした。時間と共に、死傷者の数もどんどん増えて、悲惨な災害と成ったのです。
 しかし、あの時の経験を思い起こすにつけても、当時、今感じる様な何処と無く不安な感じというのは、ありませんでした。この不安感は何なんでしょうか。じっと考えると、やはり社会に対する先行きの、漠然とした不安なのです。国の行政に対する安心感の欠如ではないでしょうか。
 今の政府には、地震津波の被災地対応に加え、福島原発事故そのものと地域に広がる放射能被害の問題が大きく圧し掛かっています。そして、今の民主党政権は、それらの対処に掛かりきりなのですが、其の対応を伺うに、到底、適切に機能しているとは思われません。政府の発表も後手後手に回っており、被災地の住民にも不安が広がっています。
 全国から、被災地に、今までに無い支援の手が差し伸べられています。しかし一方、日本の中心地である関東地域で放射能に対する風評が広がったり、身の回り品の買い溜めが見られました。
そして、今度は日本全体に、大きな買い控え、節約ムードが生まれているのです。この個人消費の急激な落ち込みに加えて、行楽の春を迎えても全国的に人の動きが手控えられて、被災地に近い観光地だけでなく、日本全体で自粛の動きを強め、海外からの観光客も大きく落ち込んでいます。
 一方、企業の生産活動はと言うと、東関東で地震による工場の被災や物流に欠かせない港湾設備の機能壊失等大きな影響が出ています。それに加えて東電と東北電力の電力供給が大きく失われ、節電等、電力供給の制約から、夏場の需要期に関わらず生産に大きなブレーキが予想されているのです。このことは、日本経済の屋台骨である工業製品の輸出に大きく影響してくるのは必死の状況です。
 今度の大震災を契機に、日本の経済社会が受けたダメージは、どのようなものか計り知れない状況です。東京電力は原発事故による地域保障の限度を越えていると言われています。政府はこの地域の保証に公的資金で保障する案が出ているようですが、其の事は、国民全体で、東電の原子力事故に対して税をもって肩代わりすると言う事を意味します。
 政府では、第一次補正予算に対応すべく、様々な党の公約実施を取りやめにする様です。
子供手当、高校授業料無償化、高速道路料金割引、農家所得保障、法人税減税それに石油高騰時のガソリン税一時廃止の凍結、等々ほとんどが其の対象になるのでは無いでしょうか。
 それに加えて、当座、復興目的の国債発行で対応するものの、早くも其の償還財源を名目に、消費税や期間限定の所得税増税の案が先行してきているのです。
 今の日本で、既存のどの政党が担っても、事態が大きく改善するとは思われませんが、今の政治家のやり口を見ているて、今回は、日本にとって正念場と思える様な国難の状況下で、僭越ながら、あまりにも狭量で稚拙な動としか思えないのは私だけでしょうか。
 健全な日本社会は、過去の阪神大震災のときに立ち上がった、ボランティア活動が今回大きく盛り上がっています。一般に対する、メディアやマスコミの世論調査でも、消費税を含む増税を容認する調査結果も出ています。賢い国民の、衆愚に陥らない事を願うものです。
 それにしても、今の政府は、私達が日本全体の運営を託すに足る政府なのでしょうか。今それを言うのは酷かも知れませんが、国政は震災対応だけではないというのも現実で、政府はいかなる事態にも内政外交全般について、目配りする事が求められるのは当然の事です。
 たまたま、国民が変化を期待した政権は、政治の運用力に経験の乏しく、その様な政権の下で、運悪くこのような大災害が発生してしまいました。我々一般の国民は、時の政府が災害を収束し、国民生活全般に適切な対応をする事を願っています。現政権の当初の公約は、ほぼ全て取り下げられて、政治手法に経験の乏しい、政治家主導のスローガンだけが後に残りました。
 しかし、地域行政と生き残った被災地住民は、自らの手で復興を果たそうと立ち上がっています。
どうか、政府は地域の人々を適切に支えて、決して、被災地域の足をすくう事の無いように願って、見守って行きたいと思います。
 

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