2011年3月30日水曜日

お見送りの日

 一昨日、かねてから病気療養を続けておられた方の訃報が入った。娘の嫁ぎ先の祖父に当たる。戦後、大阪で建設会社を起こされ、それなりの成功を収められた方で、最近は息子達に経営を委ねられていた。数えの89歳で、懸命に大正、昭和、平成を生き抜かれた方のお見送りである。とは言え、立派に,後を引き継ぐ子供達や可愛い孫やひ孫に囲まれての最後は、思い残す事のない人生の終わり方ではなかったかと推察した。季節は春で、まさに、ぎっしり蕾をつけた桜の開花を前にした、人生の終わりだった。
 お見送りの時、最後のお顔を拝見して、しみじみ幸せな最後だったと感じた。お見送りした私も高齢者の仲間入りをしているが、まだ、多くの戦前戦後を生き抜かれた方々がご存命だ。しかし私達昭和生まれに、それだけの生命力があるだろうか。長く生命を維持されて、多くの物を後進に残された方々のことを思うと、お一人お一人、ドラマがあって素晴らしいストーリーが描ける。
 今年になって、直近の東北地方の大震災では、多くの痛ましい犠牲者が出た。被災地で、不本意な人生の終わりに見舞われた方々の事が頭をよぎった。、多くの身内や知人に見守られての別れが、不謹慎ながら幸せな風景に思えた一日だった。

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