2011年3月28日月曜日

福島第一原子力発電所のこと(3)

 岩手県奥州市地域選出の小沢一郎元民主党代表が、大震災後初めて地元入りしたとのニュースを聞いた。その中で小沢氏が福島原発事故について政府を批判する発言をしている。その時の発言は「(原発の現状について)保安院・東電・内閣とも明確な話はずっと避けてきた。(国民の)皆さんに状況を正直に話をして、理解を求めたうえで思い切った策をとると」(民主党・小沢一郎 元代表)と言う内容の発言で、合わせて、事故発生以来、二週間以上も原子炉の制御が不能に陥ったままと言うのは、世界でも例が無い事、と事故後の対応にっ付いて述べている。
 現在は、民主党の党員資格停止処分中の人と言っても、日本の政治家として依然として大きな影響力を持った国会議員の言葉として、聞き捨てなら無い発言だと受け止めた。別に小沢氏の政府批判の発言がけしからんと言うのではない。現在与党の中で役職を持たない人と言っても政治の中心にいる人が、政府や原子力安全保安院、、東電がともに明確な話はずっと避けてきた、国民に状況を正直に話して、と言う下りは、暗に、政府が国民に対して本当の情報やリスクの開示を躊躇してきた、と受け止められ兼ねない発言だと思うからだ。大震災以来、政府は原発事故に対して枝野官房長官が選任のかたちでこれに当たり、逐次記者発表をおこなって来た。私も彼の発表を注目して聞いて来たが、極力、言葉を選んで国民に動揺を与えないよう、配慮した発言に終始してきたと思っている。しかしここまで来ると、さすがに内閣のスポークスマンと言っても、所詮、専門家では無い彼が伝える記者発表は、真実味が感じられ無くなって、そのことがかえって、一般に疑心暗鬼と風評を広げる結果となっているのではないだろうか。その上、昨日は東電が放射線量の測定で、政府基準の10万倍を1000万倍と間違った計測数値を発表したとして訂正している。原発事故の対応に当たる当事者で、高度の専門性を持つはずの人達の、このような間違いは考えられない事であり、東電そのものの当事者能力に疑いを持たれても致し方ない出来事である。
 国際原子力機関の天野事務局長も急遽来日して、状況視察を行っている。又米国や原発大国のフランスも今回の事故には、大きな関心と危惧を持っていると思う。
 政府は、広く、国際的な原発技術者の力も糾合して、思い切った対応策を図るべきではないだろうか。この状況下、あらゆる方策を検討すべきで、躊躇している時間は無いと思われる。
  地震災害に見舞われた東北の被災者の人達は、大変我慢強い。福島第一原子力発電所の半径20キロ圏内の避難指示に黙って従っている人達も、自分がその立場だったら如何だろうと考えると、日本人は本当にお行儀のいい国民だなと感心するのです。
 春に向かう今、高校野球も開催されて、多くの人達が子供達の熱闘に、一時の時間を忘れて声援を送っている。津波の惨禍に見舞われた東北の地は、これからが本当の現実に立ち向かう正念場になると思うのです。今まで日本が世界の中で築いてきた政治、経済、文化の地位も、今回の未曾有の惨禍を契機に、ひょっとしたら正念場を迎えるのではないかと思うのは考え過ぎだろうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿