2011年6月14日火曜日

自分の本音で

  イタリアの原発に関する国民投票で9割の人が反対の意思表示をしました。現在でもイタリアでは自国の電力エネルギーの10%をフランスから輸入いているのですが、そのフランスは世界の中の原発大国で、電力の77%を原発でまかなっているのです。
 しかし、原発の数だけでは、日本もあまり負けてはいません。と言うのは、フランスが、現在59基で、日本は既に55基とフランスの93%に成っているのです。しかも、予定されている今後の建設計画を数えると、60基を越えるとの事です。勿論、今の政府で、今後の計画は白紙で見直すとの方針を出しています。この様な状況で、福島第一原発事故が、今後の世界の原発政策に大きく影響してきており、今回のイタリアだけでなく、原発の廃止を決めているスイスの他、ドイツも国内に17基ある原発を2022年までに全廃する事を決めました。
 しかし、今回事故を起こした、当の日本での論議はどうでしょうか。私も日本の経済立国としての現状を考えると、当然、より原発の安全性を見直して、今後も原子力エネルギーを維持すべきではないかと、当初考えましたが、その考えは正しいのかと言う思いがして来ました。政府の事故検証委員会メンバーにもなっている、九州大学の吉岡斉教授の話を、二度ほどTVで聞きましたが、こうした原子力の研究に長年携わって来られた専門家から、今後、長期的には再生エネルギーや他の代替エネルギーの比率を高めて、原発への依存を減らしていくべきとの意見が語られるのです。
 原発は、一旦建設されると、その後の稼動費用が他のガスや石炭、石油を使っての発電より、とても安くて済むそうですが、しかし、今回のように一旦事故が起こると、ちなみに今回の東電で試算されているのですが、10兆円などと言う巨額の経費に繫がるリスクがあるのです。この事故の終息に当てられる費用の他に、放射性物質の影響を蒙る人々や、地域の保障費用が上乗せされるのです。さらに、何よりも狭い日本の国土で生活を営む国民の健康に、大きくのしかかるリスクを考えなけれがなりません。
 事故から、3カ月、政府の浜岡原発停止要請が出て、これから夏場を迎える電力需要をめぐっる議論が急になってきました。地元の関西電力も一般消費者や企業に向けて、今後、15%の節電の要請を発表しました。経済産業省所管の資源エネルギー庁はその試算で、今後の原発再稼動がゼロとして、天然ガスや石炭で代替すると、家庭の電力料金は、月千円のアップになると言うのです。
 又、自民党の石原伸晃幹事長は、今日「国民は福島原発事故の件で、原発にヒステリックになっている」との発言をしたと報道されています。これは、後々、問題発言として、世間をさわがす事になると思います。又、関西電力の15%節電要請にしても、大阪府の橋下知事は、福井県の点検停止中の原発再稼動に向けた、地域行政に対する圧力と受け止めて、彼らしい、強い反発を示しているのです。
 しかし、彼のこうした姿勢は、地域や日本の大勢になるのでしょうか。イタリアやドイツのように多くの国民が原発反対の意思表示を出来るのでしょうか。
 私達日本人は、今迄、本来体制に弱く、過去から自己犠牲が美徳とされた日本人の風習から、政府が推進する国策に、面と向かって反対を表明する事に躊躇する傾向が有ります。かく言う私も、サラリーマンとして企業の歯車となって勤めていた過去がありますが、その為、どうしても体制に寄り添う考え方になり勝ちです。しかし、企業も昔のように、身内として社員を守っていく考えは、とっくに捨てています。国は、ここ何年も、一年と持たない内閣が続き、国民一人一人に責任を持つ事の出来ない政府が続いて来ました。
 私達も、これからは、周りや上下を見て物事の判断基準とするのではなく、自ら、本当にそうしたい、そうなりたい、と思う本音で物事を考えなければと思うのです。


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