NHKの朝の放送で、うつ病を取り上げた番組が流れていました。日本での鬱、躁鬱、気分障害の患者数は、統計で現在100万人を大きく越えてきているとの事です。そして、鬱病などの疾患は、現在、精神的な病という認識から、脳の病気ととらえられて、その治療薬なども数多く開発されているとの事でした。その統計のコメントに、日本での年代別の鬱病の発症年齢は、男性の場合40歳台が最も多く、30歳代がそれに続くのだそうです。これに比べて、女性の場合は、60歳代が最も多く、男性患者数と年代が異なる傾向に有ることが示されていました。
上り坂を駆け上がった戦後の昭和が終わり、平成の時代は下降する経済と低迷する景気の時期が、延々と今日まで続いて来ているのです。そうした、世の中の浮き沈みが世代のストレスとなって、今日の社会現象を形成していると思われます。
では、私たち団塊の世代前後の人たちに、ストレスがなかったかと言うとそうでは無かったと思うのです。しかし、同じサラリーマンでも、上向きの目標を皆で共有していた時代のストレスと、目標が細分化され、より個人の資質能力がクローズアップされる今日とでは、掛かってくるストレスの大きさが違うのかも知れません。一人ひとりに要求される生産性の密度が何倍も高くなっているのかも知れません。
企業で働く30歳代以降の働き盛りの世代の労働時間は、私たちが想像する以上に過酷な状況に晒されている様です。私たちも、夜遅くまで長時間ストレスの掛かるサラリーマン生活を経験してきましたが、現在はその中身が変化してきているのかも知れません。
そうした中で、ストレスを緩和する手段として、音楽がとてもクローズアップされています。
音楽プレーヤーのデジタル化が進んで、誰もが何処えでも高音質のデジタル音源を持ち歩きする事が出来るように成りました。
先日も、大阪市内の病院の受信日に電車を利用しましたが、男女の若者から中年風のサラリーマンまで、皆、耳にはイヤフォンを付けています。その様子は、耳では音楽を聴きながら、スマートホンで情報を読んだり、メールをしたりと言った格好が一般的でした。
オリンピックを目指して記録に挑戦するスポーツ選手も、その前に精神的な集中力を高めるために、ほとんどの選手が携帯用音楽プレーヤーで思い思いの曲を聴いているようです。
高度の集中力でモチベーションを高めたり、心の安定に、音楽が利用されているのです。
気に入った音楽や曲を耳にすることで、ひとの頭の中の快楽中枢を司る「側坐核」のドーパミン・レベルが高まり、活動意欲や集中力に寄与するのだそうです。脳科学の研究では、音楽を聴くことで気分が良くなるだけでなく、脳の前頭皮質の活性化を通して、パホーマンス向上の助けになる事がわかってきているとの事でした。(ウオールストリート・ジャーナルの記事から)
日々の厳しい仕事の合間に電車の中で耳にイヤフォンを付けるサラリーマンは、束の間のストレス解消をしているのかも知れません。
インターネットラジオで、日常的に何曲ものクラシックの曲を耳にしていると、あらためて、ヨーロッパの過去の遺産の大きさに気づかされます。この様なクラシックの曲の一つ一つの曲名まで確認出来無い事も有りますが、日常的にこうした演奏やアンサンブルに接してきた一般的な欧州人の心の豊かさが想像できる様な気がするのです。
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