2012年3月6日火曜日

国の信用を貶める事件が、、

一線を退いて、日々、世の中の動きを傍観していると、つくづくあの時がターニングポイントだったなと、時々気づく事があります。社会保険庁の全く考えられない出鱈目な年金運用にしても、日本の肝心な所で制度がほとんど整っていなかったり、惰性に流れてはいなかっただろうかと考えるのです。
それは、やはり夫々の分野での精緻な調査研究が、実際の現場で制度として正しく規定されるまでに至っていなかった事になると思われます。
何か特定の分野の事を言っているわけではなく、日本の政治、経済、を取り巻く様々な仕組や、制度の水準の問題に行き着くと思われるのです。
最近であれば、20年前のバブルが弾けた時期に横行した損失飛ばしと言う、古典的で出鱈目な手法が日本の上場企業によって現在まで引きずられ、代表取締役を含む主要な役員や監査役までが逮捕されるに至った事です。オリンパスと言う日本の精密企業の中でも一目置かれる企業で、10年に及ぶ投資損失の決算隠しが表面化しました。
此の事が何を意味するかについて、ほとんど一般の人は、一過性の興味しか示さなかったと思いますが、世界に活動の場を求めなければならない日本の企業としては、グローバルの公の場で、顔を赤らめなければならないほどの、恥ずべき事態だったのです。その事で世界の国々の中で、日本の企業のみならず、日本の国としての評価が、確実に3段階は引き下げられたと思っています。
インサイダー取引と言って、簡単に言うと、業務上知りえた情報で個別の有価証券の売り買いを行って利益を得るなどの不祥事が後を絶ちません。それも、日本を代表する経済新聞社の内部者や、NHKの職員、経産省のキャリア官僚など、通常、考えられない者達で、その様な不祥事が頻発しているのです。
今回は、企業から委託された年金の受託運用で、2000億もの資金が、ほとんど消えて無くなったと言うのですからたまりません。これも、先のオリンパスと同じく、海外の租税回避地を使った運用と言われ、まことしやかに、体裁を整えた詐欺組織による仕組まれた犯罪に等しい出来事だと考えられます。そこに、旧社会保険庁のOBが天下り、企業の年金資金の受託に一役買っていた事が分かってきました。
また、日本のトップと目される証券会社出身者による、犯罪まがいの不祥事が、あちこちで頻繁にに見受けられるのは、如何してなのでしょうか。先の、オリンパス事件も今回のAIJ投資顧問による運用資産の巨額損失問題にしても、その日本を代表する金融機関出身者が、これらの問題に何れも顔を出していると言うから不思議です。
この様な経済事犯は、2000年のITバブルの後、日本でも多くの若者によるベンチャーキャピタルが勃興してきた時期の2005年~2006年に、代表されると考えられます。
いわゆる、ライブドア事件から村上ファンド事件だと思うのです。それは、日本の特捜検察と言う国家権力によって、勃興して来た未熟なベンチャーキャピタルが狙い撃ちに会い、証券取引法違反やインサイダー取引で結果的に潰されてしまいました。その事業手法に幾つかの問題点があった事は事実かも知れませんが、日本の産業界も、それを手助けすべき国も、勃興してくる若い芽を制度として育む事無く、結果的に見殺しにしてしまいました。
それ以降、日本の産業界に新進気鋭の芽はすっかり萎んでしまって、その後、環境や制度の整備が行われる事もなく、新規の起業も、何処か「成りすまし」のような形で目立た無くなってしまいました。
その結果、見かけだけの体裁を整え、監督官庁への届け出と認可を受けただけの、今回の投資顧問業の様な組織が野放しに成っているのです。これ等は、そもそも、適切な事業能力を持ち合わせていない、個人主導の詐欺組織となんら変わらない企業だと思われます。
しかも、金融庁はそれらの組織を適切に把握していません。検査のための人員が不足していると言うのです。投資顧問業を営む方も、大量の資金を受託しながら、適格な運用能力を備えた人員をかかえていなかったり、検査する方も専門性に疑問のある人員しか備わっていない等、問題が山積している事が伺えます。
福島第一原子力発電所の事故で表面化した、国の原子力規制機関の専門性についてのレベルや、国の形を確りグリップしておくべき省庁の機能不全等、日本のあらゆる部門で、認識の緩みや甘え、専門性の欠如が見受けられる結果、日本の国際的な信用まで低下してきているのでは無いかと危惧されるのです。

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