2011年11月27日日曜日

足立美術館を訪ねて

 以前から、人伝に島根県安来市の足立美術館の存在は知っていた。倉敷市の美観地区にある大原美術館は、今までに、3度ほど訪れているが、今回初めて足立美術館を訪れてみて、其の日本庭園の造形美の素晴らしさと、横山大観の所蔵絵画他日本近代画壇の充実したコレクションに驚いた。特別に興味も持たず、深く調べた事も無かった美術館の事が、普段から耳に入っていたと言う事は、多くの美術愛好家に早くから認められている美術館なのだと、あらためて感じました。
 入り口を入って歩みを進めると、そこに、まず大きく透き通ったガラス窓の向こうに、絵の様に浮かび上がる庭園の紅葉が目に入って来た。廊下を進みながら窓の外を眺めると、広大な日本庭園が広がっている。それも、歩を進め、見る角度によって違った景観が次々に楽しめる趣向に成っていた。日本古来の「枯山水」の庭とは趣を異にしていますが、米国の日本庭園専門誌のランキングで、8年連続日本一と言うのも頷ます。手入の行き届いた日本庭園の造形美が、私達の目を楽しませてくれました。
 この美術館を造った安来市生まれの実業家足立全康氏の生い立ちが、氏の写真と共に掲示されていた。大八車で炭を売ることから身を起こし、個人のコレクションを基にして、昭和45年71歳で出生地の安来市にこの美術館を開館したと言う経緯にも驚いた。と言うのは、横山大観の所蔵絵画だけで130点にも及ぶもので、撮影禁止で写真を掲載する事は出来ないが、竹内栖鳳、橋本関雪、河合玉堂、上村松園、伊東深水、山口華揚、平山郁夫、などと言った、横山大観だけでなく、蒼々たる日本画壇の巨匠達の作品を観賞する事が出来たからです。
 此れまでに、京都市立美術館や大阪天王寺美術館、それに神戸市立美術館等、主に関西の近場の美術館で絵画展は何度も観賞する機会が有りましたが、それら巨匠達の名前が、日本画の知識のほとんど無い私の頭の中に有ったとしても、ミレーやゴッホ、セザンヌといった欧州近代絵画の巨匠達の作品と同様、何時何処で其の作品に触れたのかの記憶は有りません。
 学生の頃の美術史の教科書に出てくる様な絵画を目の当たりにし、新館では、民藝派の河合寛次郎や、北大路魯山人と言った、名だたる陶芸家の作品を鑑賞する事が出来ました。
 所要時間は1時間半を越えていましたが、庭園を望むコーヒーラウンジでのひと時も、遠方よりわざわざ訪れた、美術館の余韻を感じさせる物と成りました。

色紙 「雨霽る(あめはる)」 横山大観

色紙「紅葉(こうよう)」 左隻 横山大観
(此れは、色紙として販売されている横山大観の代表作です)

 私が思っていた通り、車に戻ると、中で待たせていたアンディーは、助手席に包まって眠りこけていました。

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