2012年7月4日水曜日

政治に期待は栓無き事

  社会保障と税・一体改革法案が6月26日、民、自公三党合意の下、衆議院で可決されました。その三日後の事です。この前の野田第二次改造内閣で抜擢された、羽田雄一郎国土交通大臣から、整備新幹線3区間の新規建設を認可したと言う発表が、29日になされました。
新聞、メディアの報道もさり気ないもので、殊更この国土交通省の決定を問題視する報道もほとんど見受けられませんでした。それは、北陸新幹線の金沢ー敦賀間114.4キロ、北海道新幹線の新函館ー札幌間212キロ、それに九州新幹線の長崎ルートの諫早ー長崎間21キロの3区間と言うもので、建設主体の「独立行政法人鉄道・運輸機構」は、2025年開業を目指して7月にも着工する運びと言うのです。また、これら3区間の建設費は、なんと3兆400億円(うち北陸延伸分、1兆1600億円)もの大型事業で、消費税増税法案の衆議院採決の直後、まさに民主党分裂騒ぎに紛れるかの様に認可が発表されたのです。

就任間もない、羽田国土交通大臣は地域産業や社会に大きな影響をもたらす、真に重要な事業と強調して、関係自治体に丁寧に説明して手続きを進めて来た結果、この時期になったとしています。又、公共事業関係予算には過度に依存せず、建設費等の試算も慎重に行い、コンクリートから人への理念は変えていないと、述べています。まさか、この建設予算が消費税増税に裏打ちされているのではないかと、勘ぐりたく成ります。
  しかし、野田内閣では、既に改造前の前田国土交通大臣の時点で、政権交代前から民主党自身が問題として来た八ッ場ダムの建設再開を決めているのです。

事ほど左様に、野田内閣の推し進める政策は、あちらことらで矛盾が噴出して来ています。経済産業省では、既得権益を保有する原子力業界や電力業界と暗黙の提携の下、国民の素朴な心配を無視して、何が何でも既存の原発の早期再起動を推し進める事に、精力が注がれているとしか思えません。財務省は財務省で、懸案の消費税増税に漕ぎ着けようと必死に野田総理大臣の背中を押して来ました。
これらを私なりに俯瞰してみますと、現在の野田内閣が主導する日本の政治は、霞ヶ関の官僚組織が、これまでの政治主導からの鬱憤を晴らさんばかりに、動き回っている様にしか見えません。官僚組織による、各々、テンでんバラバラの巻き返しが始まっていると考える事が出来のでは無いでしょうか。言い換えれば、政治の官僚組織へのガバナンスがほとんど機能していない状態と言えると思われます。
  この先の、増え続ける国の膨大な社会保障費の事を考えて、日本には増税やむ無しと考える、多くの物分りの良い国民がいますが、本当の意味での国の予算の組み換えや、痛みを伴うかもしれない社会保障関係費の見直しを、再検討すべき時期に来ているのでは無いかと考えるのです。
現在の、日本の社会保障制度は、従来の制度を維持したまま、この先、小手先の増税で済むとは思われないからです。
しかし、その事を現在の野田政権や、同じくダメな野党に期待しても、栓無い事と言う他有りませんが。




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