夕方前、フイルムのメーカーでは、世界のトップでアメリカの名門企業であるイーストマン・コダック社が、米国の連邦地方裁判所に連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の申請を行った、と言うニュースが入ってきた。一週間か十日ほど前でしょうか、今年になってからNY証券取引所でコダックの株価が1ドルを割り込み、このままでは上場廃止に成るかも知れないとの新聞記事を目にしたばかりでしたが、私の感覚からすると米国のあの映像界の巨人が倒れたと言うのは、やはり一つの驚きでした。
裁判所の監督下で事業は続けながら、保有する特許などを売却して負債の処理に当たるとの事です。創業130年を数える米国の名門企業の破産法申請は、アナログからデジタルへの世界の潮流を見誤った、典型的な例ではないでしょうか。世界で初めてデジタルカメラを発表しながら、フイルム事業に拘って、映像事業のデジタル化の切り替えに後れを取ってしまった。
フイルム事業では、世界第2位の日本の富士フィルムは、国内の生え抜きのカメラメーカーに一歩も引けを取ることなく、最近でもデジタルカメラ部門で意欲的な新製品を世界に発信し続けています。昼間に、テレビのコマーシャルを見ていると、女性の化粧品等を手掛けているのを見掛けた事があります。
国内でも、企業の新陳代謝はめまぐるしく、私が、個人的に愛用しているコニカミノルタカメラのコニカの前身は、サクラカラーのブランドで写真フイルム事業を展開していた小西六写真工業と、大阪のカメラ専業メーカ、ミノルタカメラが合併してコニカミノルタと成り、その後フイルム事業とカメラ事業から完全に撤退してしまうと言う経緯を歩んでいます。
映像事業と言っても、日本でカメラ事業を展開している大手のキャノンやニコンにしても、勿論デジタルカメラの製造で勝ち残って来た企業ではありますが、元々のカメラ事業だけでは企業を発展拡大させる事が出来ず、個人用のプリンターや事務用プリンターを初めとして、様々なデジタル製品に事業を多角化し、ニコンに至ってはコンピューター用の半導体製造装置などの映像事業以外が四割に及ぶ事業の多角化で、国内だけでなく、世界の企業として生き残って来たのです。
私も、フイルムカメラを手にする事がほとんど無くなりました。以前持っていたCANONのEOS3と言うフイルム一眼レフカメラは近くのキタムラカメラで売ってしまいましたが、奥さん用のCONTAX T2 と言うコンパクトカメラの名器は、まだ机の中に大切に仕舞い込んでいます。たまには、贅沢をして、フイルムカメラを片手に歩いてみようかと思った次第です。
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