2011年12月27日火曜日

今年を振り返って

   今年は、政権が変わると言う事ことが如何言うことことかと言う事を、より身にしみて感じた年では無かったかと思っています。3月11日にM9.0と言う、日本にとっては1000年に一度の大地震が発生し、その上に、地震の大津波によって福島第一原子力発電所の冷温機能が失われ、水素爆発と共に原子炉内の放射性物資が日本の空に放出されてしまうと言う、世界を驚かせる大惨事となってしまいました。大地震による大津波で多くの人命が失われ、東日本の沿岸部の市町村は壊滅的打撃を受けました。被災地の復興は9ヶ月が経ち冬を迎えた現在も、被災地の人達の懸命の努力にも関わらず、進捗は遅々としています。
今の、野田内閣に至る民主党政権は、大震災が発生する前から政権としての安定を大きく欠いていた状態に、覆いかぶさるように大災害が発生したのです。
沖縄普天間への米軍基地移設の問題も、民主党初の鳩山内閣によって、それまでの経緯が大きく覆され、挙句に自身の親元からの巨額の資金贈与が表ざたになり、その内閣は菅内閣へと引き継がれますが、これまた、菅総理は就任早々事前の議論も無く、唐突に消費税増税を持ち出して、大きく国民の不興を買ってしまいました。その後、行政の事業仕分けで無駄な予算を削減し、新たな政策経費を捻出するとした民主党の公約は、当初想定に遥かに及ばず、政権公約を主導して民主党の政権交代に漕ぎ着けた小沢元幹事長も、自らの政治資金疑惑で手足を縛られ、挙句に身内から党員資格を停止されると言う状況に陥ってしまったのです。
当初、政権公約に掲げたガソリンの暫定税率廃止も暫定と言う文言が外されただけで、高速道路無料化も財源不足から、早々に取りやめに成ってしまいました。そして若者世帯がこぞって指示した子供手当ても、初めの公約から大幅に引き下げとなり、今度は、箱物の廃止の象徴として公約に掲げた八ッ場ダムの建設が、国交省と現内閣によって継続される事となってしまったのです。大震災発生後の取り組みが不興を買って、菅総理退陣の大合唱の後、財務大臣から昇格した野田総理は、財務省主導の消費税の増税しか頭に無く、TPPも普天間も自ら進んで主導する気配も見せません。ましてや、消費税増税前に解散総選挙を謳っていた民主党政権は、如何なってしまったのでしょうか。3年前の衆議院選挙で掲げた民主党の公約は、現在、そのほとんどが無に帰したと言っても過言ではありまん。
厳しい、世界情勢の中、挨拶外交に終始している様にしか見えない野田総理は、更なる、円高と定まらない景況感に、如何手を打つのかも見えて来ていません。現在の内政に関して、とうてい着実な施策が繰り出されているとは思われないのです。ましてや、東日本の大震災からの復興にしても、放射能除染も、地方自治体任せで国の関与が十分機能しているとは言えなと思います。福島原発対応の途中経過の冷温状態で、不適切な事故の収束宣言に至っては、何おか言わんやで、海外や各方面から疑問の声が上がっているのが実情です。
震災復興と原発事故への対応以外に、民主党政権では、国民経済への視点が決定的に欠如していると思われます。国内の中小企業や海外に製造工場をもつグローバルな製造業、それらの潤滑油としての銀行や国内の金融マーケットに、きめ細かな目配りが出来ているとは到底思われません。所謂、為替を含めた適切な金融政策や、国内産業に対する広範な成長戦略の対応策です。
私が思いますに、今の民主党を構成する国会議員の多くの方々は、国家が公的機関と公的企業、さらにその下の一般人民によって社会が構成されていると、勘違いしている人達では無いでしょうか。本来、自由な資本主義市場経済で政治が果たす役割は、生活者としての人々の民間活力が、いかにスムースに引き出され、規制を排した自由で活力のある社会を生み出す為の、手助けをする事では無いかと思うのです。永田町に集う、衆参、与野党の先生方の奮起を期待したいと思うと頃です。
政府として、日夜その為に果たさなければならない仕事は数え切れません。そうした安定した国民生活をサポートする為の法律を構築する事が、政治の本来の役割では無いかと考えるのです。政治家に成る為に政治塾に入り、駅前で僧侶の様に托鉢まがいに立つ事で、優秀な政治家が生まれるのでしょうか。どじょうのように泥臭くと言っても、何か一つ、消費税増税と言うお題目だけ唱えて事が済むとは思われません。
昨日の、日経の「2012視点」と言うコラムで、JPモルガンCEOのジェイミー・ダイモン氏の言葉に、「私は学生時代、日本の奇跡を学んだ。技術は高く、強さは健在だ。日本は人口が増えれば運営がずっと楽になる。私なら政財、学界のブレーンを集め、問題解決に当たる。」と言うものです。
政治的な解決能力に疑問のある多くの国会議員だけに、この国を任せていても良い物のだろうかと考えてしまいます。戦後を懸命に復興し、一生懸命働いて世界に打って出た嘗ての時代を、もう二度とこの日本に見る事は出来ないのでしょうか。
以前の様に、官僚が全てを仕切る国の形に戻ることは、もう無いと思います。それ故に、政、財、官、学の総力を結集して、まず政治の形を安定化させる事から始めなければならないと思うのです。安定した政権の下で、今の日本の病巣を大胆に切り開かなければ成りません。国民の各自、各層が責任を持つ事で、誰かに責任転嫁は出来ないと思います。
3年前、真の行政改革に取り組み、硬直化した国の予算の枠組みを根本から作り変えると言う公約を信じた国民を、政治は裏切っては成らないと思うのです。今後の年金問題にしても、消費税の引き上げ無しに、この先を見通す事が出来ない事は、多くの国民が理解しています。しかし、まず其処にいたるプロセスへの努力が無ければ、国民の真の理解は得られません。
来る2012年が、私たち国民にとって、希望の見える年に成ります事を、心から期待したいと思うのです。

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