2011年12月18日日曜日

政府災害対策本部

    政府は、先日、福島第一原子力発電所の冷温停止を発表した。事故を起こした原子炉がいずれも概ね100度以下に収まった状況を踏まえて、首相自ら記者発表に及んだようだ。その事について、福島の地元はじめ各方面で、首相が自ら記者発表するほどの成果なのだろうかと、疑問を呈する向きが多い。というのも、今の現状は、原子炉内部の損傷の具合や内部で溶け落ちた核燃料の状態さえ、解析上の想像でしか窺がえないと言うのが現実だからです。
今朝、平野復興大臣と細野原子力担当大臣がテレビ出演していましたが、細野大臣などもこの先の見通しについては、言葉を選んで苦しい発言に見えました。
ただ、私が以前より思っているのは、政府がいま一番やらなければならない優先順位は何か、という事なのです。TPPもあり消費税の論議もあるだろうが、今年起こった未曾有の大災害と、まさか、あってはならない原子力発電所の大事故が、この国土の狭い日本で発生してしまったという事では無いでしょうか。現政権は、民主党になって三度目の内閣で、野田総理自身日本の総理大臣として、その優れた政治能力故に、国民がこぞって承認している総理大臣と言う分けでは無いと思うのです。
長い自民党政権に失望して、国民は変革を求めて民主党政権を送り出したのですが、それは、支持者にとっては大きな当て外れで、国民にとって、さらに不幸な結果をもたらしています。ましてや、今度も悪かったからと言って、また短期間に総理大臣を変えるのは対外的にもバツが悪いと言う世間体も付いて来るからです。
国民は、自民党の小泉政権ですでに選択を誤っていたと思うのですが、与野党含めて日本の政治が機能不全に陥っている状況で、何度政権を変えても結果は同じ事の繰り返しです。
  今の野田政権にしても、2次、3次と補正予算さえ国会を通せば、復興が進むと勘違いしている節があります。しかし、3月11日から、もう既に9ヶ月が過ぎているのですが、未曾有の大震災とまさかの原子力発電所事故についての本当の認識や受け止め方が、僭越ながら、はなはだお粗末としか言いようがありません。 
現在の政府の東日本大震災関係の対策本部の陣容を見ると、大きくは、原子力災害対策本部、緊急災害対策本部、それに復興対策本部と別れています。原子力災害対策本部には政府・東電統合対策室が設けられ、他方に現地対策本部とその下に原子力災害合同対策協議会がおかれていると言った具合です。緊急災害対策本部と言う本部が殊更何故在るのかが理解できませんが、その下には、現地対策本部と連絡室が設けられています。そして、復興対策本部には、その下に岩手、宮城、福島の現地対策本部が設けられているのです。
私が問題にしているのは、野田総理や細野原子力担当大臣から放射性物質の除染と言う言葉が頻繁に出てきますが、日本国民にとって緊急の重要問題である放射能の除染実施についての所管が対策本部のどこに位置しているか分からないほどなのです。
首都圏を含む東日本に降り注いだ放射性物質を本気で除染すると言う事は、並大抵の取り組みでは無いと思われます。その為の予算手当てにしても、この先30年とも40年とも言われる福島原発の廃炉の費用に匹敵するか、それ以上の経費が見積もられるかも知れません。しかも、それは出来るだけ早いに越したことは在りませんし、原発周辺地域にがぎった事では無いのです。
復興と、原発事故の対応だけで精一杯で、其処まで資金が回らないと言えばそれまでですが、現状、政府の取り組みは、全くそれに近いと思われます。
  震災で発生した瓦礫の処理と、放射性物質を多量に含む瓦礫の処分は頭の痛い問題でしょう。しかし、これらの、大震災関係の三に大分けされた対策本部の本部長は全て現野田総理になっていて、彼がそのうちの何に全力を掛けているのかも全く見えないのです。野田総理自体、対策本部の以下の副大臣や政務官に任せきりで、自ら陣頭に立つつもりは無い様に思われます。
震災からの復興は政府の援助の手が遅くても、粘り強い東日本の人達自身で、少しずつでも前進するでしょう。しかし、放射性物質が降り注ぎ、いまだに手付かずの高い放射能を示す東日本の国土の浄化は、何時、誰が、如何取り組むのでしょうか。地域自治体や、自衛隊で除染作業を行う映像が流されていますが、それは、限定された、ほんのささやかな取り組みと言うほか在りません。
原発由来の放射性物質の拡散について、政府が全力で除染に取り組む姿を期待したいものです。

0 件のコメント:

コメントを投稿