今朝は、勝手口からベランダに出た奥さんが、あまりの風の冷たさに、朝の散歩を見送って昼間に出かけよう、と言い出した。私も、新聞に目を通しながら最近ずっと気になっていたユーロ加盟国の財政危機について、私なりに調べてみようと思っていたので、そうしよう、と簡単に頷いた。
この所の欧州各国の財政危機の中、21日の日経のニュースでECB(欧州中央銀行)が欧州の銀行向けに期間3年の大量の資金供給を実施したとの記事が出ていた。総額4.890億ユーロ(49兆4.000億円)の資金をほぼ500の銀行が取り入れたと言うのです。これはユーロ圏域内総生産の5%に相当する金額で、過去最大の資金供給オペとの事でした。ウォールストリートジャーナルなどの見出しには、平穏なクリスマスを過ごす為のECBの計らいでは無いかと出ていました。
1999年1月1日にスタートしたEU統合通貨ユーロは、当初130円台前般でスタートし、発足後10年を前にした2008年、リーマンショックの3ヶ月前には、170円に迫る169円台の最高値を付けました。私の現役当時の記憶でも、対円で、しばしば150円台の強い値を示していた時期の事が思い出されます。退職後の2004年の10月、夫婦で初めてヨーロッパに出かけた時も、為替は140円を挟んだ状況だった事を覚えています。
2008年9月の米国でのリーマンショックで、ユーロは、夏前の169円の最高値から113円台まで急落するのですが、その後小康状態で推移した後、もう十分ユーロは値下がりしたと考えられていた折の今年3月、日本で東日本大震災が起こったにもかかわらず、ギリシャ不安が表面化して対円で100円迄更なる値下がりを記録して、今迄の最安値を更新したのです。
今回のECBの大量資金供給で、フランスなどでは欧州の銀行が低利の資金を手にして、スペインやポルトガルなど高金利の国債を買い入れるキャリートレードで、財政不安が囁かれる国の国債の下支えもにも成ると言う向きも有りましたが、欧州の銀行は年明けの3月には大量の借り入れ資金の期限を迎えており、その大半が期日の来る借入金の借り換えに向かい、新規の余裕資金は1900億ユーロに止まったとの事です。ましてや、冷静に考えれば、財政危機が叫ばれる国々の国債の持ち高を増やすなどとは、とても考えられません。しかも、世界の主要な格付け会社によって、年明けには欧州各国の国債が一斉に格下げされるのでは無いかと、噂さが流れていたのです。
ドイツ、フランスを中心に、財政不安が高まる一部のユーロ加盟国の救済スキームが議論されてましたが、今の所、必ずしも効果的な解決策が合意されたとは言い難いのが事実なのです。ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペインさらにイタリアと、域内で危機を噂される国々の今後の状況が落ち着く迄には、まだ予断を許しませんし、この先相当の紆余曲折が予想されるのです。
幸い、年後半に掛けて、米国の経済指標に若干の改善の傾向が見られますが、この所の世界景気を牽引してきた中国経済やインド、ブラジルと言った新興国の状況次第で、来年の世界経済の推移を予想する事が出来るかも知れません。新年の日本経済の状況は、東日本からの復興需要を予想する向きもありますが、それにも増して、中国経済や欧州経済の動向と、その影響が強い米国経済の状況を注意深く見守る必要が有ると考えられています。
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