東日本大震災から2ヵ月半、被災地は懸命に立ち上がろうとしている。反面、福島第一原子力発電所は、当初の、政府、原子力保安院や東京電力の、連日の国民をなだめるような記者会見とは、相当違った結果が明らかになって来ている。一号炉に次いで、二号炉も三号炉も、いわゆる、原子力燃料のメルトダウン(溶融)が起きて、原子炉容器や原子炉の格納容器に穴が開いたり、破損している可能性が示された。そのことは、夫々の水素爆発や、むき出しの核物質から大量の放射性物質が外部に放出されて、相当広い範囲に影響が出てきている事を示している。
当初、専任のような形で、国民向けにメッセイジを発していた枝野官房長官の言っていた事は、何だったのかと指摘しなければならない。「直ちに健康に影響するものではない」等と言うフレイズは、国民に対する、まやかし以外の何ものでも無かった事になる。さらに、これも政府の原子力委員会の斑目(マダラメ)と言う委員長は何者なのだろうか。原子力事故発生以来、当初は、ほとんど表に出ず、事故現場の確認にも出かけなかった人物で、放射性物質の影響について、文科省が子供の浴びる放射線の許容基準を年間20ミリシーベルトとするのにOKの指示を出したという。彼については、最近、色々の事が言われだしているが、私は当初から不思議な人物に映っていた。「原発は、そうとう儲かるんですよ、原子力みたいな不気味なものは無いですよ、結局、金がものを言うんです」等など、彼が発した談話は、ユーチューブでもそうとう話題になっている。
東京大学で、その道の教授を務めていた人で、政府の原子力委員長まで成っている人なのだから、如何わしい人では無いと思うのですが、柏崎刈羽原発事故の処理に絡んでは、経産省の原子力安全保安院のメンバーから、原子力委員長として不適格との指摘を受けている事実も分っている。
物理学や機械工学的な識見は高い人なんだろうと思うのだが、この人の話を聞いていると、何処か、お宅くっぽく見えて来るのは如何してだろうか。それに話がとても軽い。深刻な事態が進行しているにも拘らず、何処か、ひと事のような雰囲気をかもし出す人なのです。
原子炉への海水注入に際して、再臨界について問われ「その可能性はゼロではない」という言葉が、最近問題になっているが、N.Yタイムズなどは、米国の原子力関係者の談話として、あの時点での言葉としては、全く当たらないとしている。そして、日本の政府部内では、事故収束の目処も立たないうちから、早々と原因究明の委員会が立ち上がった。さらに、海外からは、社会主義的と揶揄される被災者救済のスキームも構築されようとしている。様々な、矛盾を抱えた二ヶ月半が過ぎようとしているのだ。
結局、現在の原発事故の対応は、主に東京電力一社に任されて、政府の原子力委員会や安全委員会、それに経産省の原子力安全保安院などは、ほとんど機能していないのではないかと思われる。原発事故対応の細野補佐官は、誰と話をしているのだろうかと思われてし方が無い。
人の話の受け売りだが、数学者の岡 潔さんの言葉に、20世紀は物理学の時代だったが、それは破壊と操作の時代だといえる。しかし、20世紀を形作って来た物理学にも限界があって、21世紀は新し世界を模索する世紀に入ったのでは無いか、とのお話であった。その事は、私達の暮らし方の変更を意味するのかも知れない。しかし、今はまず、原発事故の一日も早い収束の目処が付けられる事を祈りたい。
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