2012年6月4日月曜日

株価が30年前に戻った

  日経平均株価は、そろそろ良い水準まで来ていると考えていました。大体、株価が過去の最安値を下回った等と言う時は、いつも直近では底値にきている事が多いのです。しかし、きょうの東証株価指数はあのバブル崩壊後の最安値を更新したととの事です。
先週、週末のNYダウが270ドル以上も急落して、又も世界同時株安の様相を呈して来ました。しかし、先週の世界の経済のトピックスを探ってみても、それほどセンセーシュナルで、決定的な悪材料が観測されたと言うニュースは見当たりません。ギリシャの再選挙の見通しの不安と、スペイン国債の金利上昇による財政不安、さらに米国の雇用統計で増加が6万人余りと、事前の予想より大幅に悪かった、と言う事ぐらいなのです。総じて考えると、欧米を取り巻く経済の先行き不安の増幅としか言い様が有りません。世界の株価が先行きの悪材料を、事前に織り込み始めているのでは、とも考えられます。

前回の様に米国でリーマンブラザースが破綻したとか、ギリシャがとうとうデフォルトがはっきりし、欧州連合から外れると言った、株価がショック安を起こしても仕方が無い様な重大な悪材料が見られない中での、日本の株価の安値更新なのです。
欧州経済の悪化が中国の輸出鈍化をもたらす中、中国経済の先行き不安が広がり始めているのも事実です。其処に、米国経済の回復が思うように見られないとなると、この先の更なる欧州の債務国問題と共鳴しあう不安が懸念されている状況ではないかと考えられます。
  所が、日本では国の政府債務が今年度中に1.000兆円を超える事が確実で欧州の過剰債務国の比では無いとして、野田首相は消費税増税に躍起となっています。しかし、皮肉な事に円ドルの為替レートは、またぞろ78円台の円高と円が買われ、日本国債も5か月振りの金利低下(国債が買われて価格が上昇する)に成っているのです。日本の今の財政悪化を放置すれば、早晩、日本国債の償還不安から国債が大幅に売られてギリシャやスペインの様に国家財政の破綻懸念を生じる、と言うのが野田首相の消費税増税の論拠に成っているのです。国際通貨の中で、欧州の過剰債務国よりも財政状況が悪い日本の円がどうして買われなければ成らないかが分かりませんね。
たぶん、日本の1.400兆円と言われる国民資産や、大幅な企業の国外資産と経常黒字国としての評価、何よりも日本国債のほとんどは国内で消化されており、今の所、国外の保有者の売りを懸念する必要が無い事、更に言えば、他の先進国の中では増税余地に余裕があると思われているからでは無いでしょうか。
今日の日本株の、特に東証株価指数の安値更新は、ドルやユーロに対する円高の状況を反映した株安だと思われます。日本の輸出国としての存在が、円高による輸出企業の競争悪化と業績の落ち込みを連想させる結果だと思われるからです。
と言う事は、今後、ドルやユーロに対する円高がどの水準で止まるのかを市場は見ているのだと思われます。そこで日本の円にとっての最大のネックはと言うと、財務大臣としては素人で経験が乏しく存在のとても軽い財務大臣の存在ではないかと思うのです。この内閣の素人は防衛大臣だけでは無かったのです。粋がった発言の割に、此れまでの経緯から市場に睨みがきく財務大臣だとは思われないからです。その為、日本の政府から政策的な何かを期待する事は、ほとんど有りません。
欧米の政府や政策担当者、さらに各国先物市場のトレーダー筋の動向に注意を払う意外に無いのではないかと考えます。
後は、市場の売り方にとっても、日本株が上場企業の一株当たりの純資産を下回って売られている点ではないでしょうか。早晩、売り方にとってもスリリングな水準に近づいていると思われます。




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