2011年11月15日火曜日

TPPと国会中継

 先月、TPP論議が盛んになっていた頃、経団連の副会長で小松製作所の社長である坂根政宏氏がテレビで熱く語っていた。TPPについて、日本が何も手を打たず、内にこもって参加を先延ばしする様な事があれば、私は日本を脱出しますと言い切った。
 その後、タイの洪水がどんどん報道されるようになって、こんなにも、日本を脱出してタイに工場進出している日本企業が多いとはと、全く驚いた。様は、タイで生産し、近隣の中国などに輸出すれば、関税が掛からないと言う理由からだと言うのです。
 最初は、中国の人件費の安さを理由に中国に進出した多くの日本企業は、中国の人件費が上がりだして生産コストが悪くなると、それではと、次第にタイやベトナム、フィリピン等人件費が安く、生産コストが低く抑えられる国へと工場を移している構図が見えてきました。要するに、個々の会社の営利目的による企業行動しか、そこには見えて来ません。日本企業として、国や社会に貢献する意思等少しも持ち合わせてい無いのです。此れが、日本の財界関係者の本音だと思います。
 此れでは、日本の雇用が厳しいのも頷けます。ましてや、小泉改革に乗って、この10年近く年功序列の終身雇用では世界と対等に渡り合っていけないと、常用雇用から不定期の派遣労働に国内雇用を切り替え、成果主義の名の下に日本の雇用形態の180度転換に成功したのです。日本では、中小零細企業を除いて、大企業を中心にほとんどの製造業が、既に国外に脱出している状況が見て取れます。今度のTPPでは、自分達が生産する製品の輸出条件だけを理由に、日本は国内を開放しなければならないと主張している様にしか聞こえないのです。国内で製造する50%の輸出製品の競争力しか頭に無いのです。
 日本の農業にしても、農業従事者の高齢化と後継者不足で、10年先が見えないと言われています。食糧自給を理由に既得権を主張する農業従事者や政治家の論議にも、また組し得ないのも事実です。
 それなら如何して今迄、日本農業の根本的な改革を、ほっておいたのかと考えると、民主党の米農家に対する所得保障政策等は愚の骨頂に思えてき来ます。
 環太平洋経済連携協定と言う長い名前の取り決めの問題を考える時、第一に、やはり日本の政治の貧しさが大きく影響している事を思わざる負えません。
 野田首相は、申し送りで民主党の前の二人の首相が残した外交的なつけを、払いに行っているだけなのかも知れません。と言うのは、民主党初代総理がみそを付けた普天間の辺野古移転の問題で、米国との安全保障の連携が大きく損われ、どうしても、中間の大統領選挙と議会対策を迫られるオバマ氏に借りを返す必要に迫られていると考えるのは考えすぎでしょうか。
 野田総理や民主党内閣にとって、国民と国益を考えるより、まず目先の米国との関係を取り繕う事の方が先決なのだと思うのです。
 今日の、参議院の国会中継を試聴していて思いましたが、今度の首相も早晩ぼろが出て、マスコミに丸裸にされて、追いやられる三人目の首相に成るのでは無いでしょうか。何故なら、この人には、残念ながら、国民をリードして行く為の政治家としての信念や展望が備わっているとは思えなかったからです。

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