2012年2月7日火曜日

国会質疑の感想

参議院での国会中継を、ズルズル見てしまった。質問する方も、論点がバラバラで、事の本質を突いていない質問が多く、答える方も答える方で全く答弁に成っていない。野田総理の答弁を聞いていても、歯の浮くようなと言うのはこう言う事かと思うほど口先だけで、確りと、真摯に、頑張ってとか、並べられるだけの形容詞を並べて、何が言いたいのか全く分からない。中身がないから、どうしても苦しい言い逃れに終始している様にしか見えないのです。
野田首相と閣僚達は、自分たちが主張している事が、今、本当に国民の為に必要な事と確信しているのだろうかが疑わしい。日本にとって、消費税の増税が今、最優先の戦略だとする理由付を、もっと具合的に、丁寧に国民に説明する必要があると思うのです。
国債の発行残高が700兆円に及び、国の諸々の債務残高が今年度末には1.054兆円の予想となり、トータルで1.000兆円を超えてしまう。此のままだと、欧州の過剰債務国の国債の信任が失われたと同様に、日本の国債の信任も失われて、その結果、大半の日本の国債を保有している邦銀が日本国債を買わなくなり、さらに、売却に走る様になれば、国債の金利は跳ね上がって、それこそ、毎年国債の利払いだけに追われる事に成る、と言うのが野田首相の消費税増税と社会保障と税の一体改革で言う主張の趣旨だと理解しているのです。彼が日本の国民に放つた、日本財政の破綻の警鐘は、国内はおろか、世界中に届いています。米国や英国、中国などの国の主導者が、何処に自国の財政破綻を喧伝している国があるでしょうか。長期の低金利と財務省証券の増刷でドル通貨を世界に垂れ流している米国はどうなるのでしょうか。
しかも、消費税をいくらまで引き上げれば、社会保障財源が賄えるかとの目途も持ち合わせていない事を見れば、社会保障の一体改革と言うのは増税の為のカムフラージュでしか無い事が分かります。
しかし、現状日本のGDPの2倍の債務残高が容認されるかと言えば、私もそうは思いません。
ECB(欧州中央銀行)にしても、いまや世界の基軸通貨としての影に不安が付き纏う米国も、国の信任以外に何の裏付けもない通貨を発行し続けているのですから、ドルの足元のIMFが、日本の事を言える立場では無いと事が分かります。そう思うと、自ら世界に、自国の財政不安の情報を大声で発信し続けている国も珍しいのではないでしょうか。
古川という若い国家戦略担当大臣にしても、もう少し、民主党政権の中で、何かまともな政策や戦略を持ち合わせているのかと期待していましたが、昨日の答弁で、2020年の話をしている様では、ほとんど当てにならない人間である事が分かりました。
どう考えても、野田チームは、消費税を上げる事が政策の目的になっており、大々的に国家予算の支出削減に取り組むとか、何より、日本経済の浮揚に繋がる戦略について国を挙げて取り組むとか、ゼスチャーでもいいから風呂敷を広げれば良いと思うのですが、そうした景気浮揚の政策は、悲しい事に全く見られないと言うから話にならない。
委員会のやり取りの中で、特別会計と独立行政法人改革について、特会削減の方向を出したとしても、その事による財源捻出の数字の目途も持ち合わせていない事が分かりました。
ダメな自民党時代でも、国家戦略会議とか、曲がりなりにも日本経済の浮揚策についての各種の取り組みを見ることが出来た。其の事は、日本政府が世界に向かって成長戦略を取っている事の表明でもあると思うのです。
世界経済の中で、日本の信任を確保する為には、日本政府は確りした政策と戦略が必要になると思います。増え続ける債務残高に歯止めをかける戦略が、目先の8%、10%、の消費税増税だけでは無い事は、誰もが分かっているはずです。
所が、今の野田首相は、どう思い違いをしているのか分かりませんが、消費税の増税を行う事が、最大の自己目的になっている節が伺えるのです。
どう考えても、政治生命を掛ける順番を間違えているように思えてなりません。
原発事故で電力行政の中身が露わになった通商産業省や、八ッ場ダムで箱もの行政でいまだに問題を抱えたままの国土交通省、年金のでたらめな管理運営で批判が集中した厚生労働省など、日本の再生を期す為の問題が山積みされているのです。自らの立法府、行政組織という業務範疇の改革を横に置き、押し付けやすい一般国民に、ごり押しとも取れる増税の主張は、順番が違うと言われても仕方が無いと思うのです。
世界的に、社会保障費の増加を間接税で賄うという流れは致しかたないとしても、増税そのものが政策の主流ではなく、補完的戦略でなければ成りません。
国会のやり取りを聞いていると、各所に口先だけで言い逃れしようとする様が見て取れて、その裏には確りした戦略も政策の目途も持ち合わせていない事が透けて見えるのは、悲しい限りではないでしょうか。まさに、現政権を担当する政治家達の資質が問われていると思うのです。

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