たまたま、インターネットで慶応義塾大学の深尾光洋教授が週間東洋経済に寄稿された、「風評被害」は誰の責任か、という文章を読んだ。
私も、マスコミや政府のスポークスマンが、今迄、事有るごとに「風評被害」と言う言葉を使う事に抵抗感を覚えていた。この文章は、私のその訝しい気持ちを分って頂いたような気がした文章だった。
福島第一原発の水素爆発が起こっていたその時に、政府や原子力関係者、さらに、気象庁はどんな発表と、説明をしていたのか。風向きによって大量の放射性物質が降り注いでいた時に、計画的避難地域を指定して、自主避難などと言う中途半端な発表と、マスコミは一般の人達のレントゲンの受診を引き合いに出して健康には直ちに影響は無い、と言う文言を繰り返していました。
その影響を懸念して、国際機関は年間1ミリシーベルトという基準が定められていると言うのです。それにも関わらず、年間20ミリシーベルトと言う政府が発表した被爆の許容基準は、平時に原発作業に携わる人たちの上限基準に当たるとのことでした。IAEAなどは日本の政府の対応に懸念を示し、国際的には国内の外国人がどんどん、出国する事態となったのです。
後から知らされる情報ほど、人々に疑念を抱かせるものはありません。人々が少しでも、子供達や妊婦の累積被爆を避けようと行動する事は、合理的な行動です。それに対して、根拠を示さず、「風評被害」と決め付ける政府の対応や、安易にその言葉を、連発してきたマスコミが、更なる風評被害を助長する張本人だったような気がします。最初から、正しい情報が開示されていたら状況は変わっていたでしょう。
福島原発事故は、思わぬところに影響を及ぼしています。今年、国内で計画されていた、海外の著名な音楽家や楽団の来日や、芸術品の展覧会などが、幾つもキャンセルされています。ドイツの有名なバイオリニスト、アンネ・ゾヒー・ムターも、今年の、全国での演奏会を断念したとの記事を読みました。
早く、世界の人たちが、安心して日本に来ていただける日が来る事を祈りたいものです。
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