2011年9月10日土曜日

NY市場はジェットコースターか

   現役を離れてからも、新聞の経済欄には一応目を通しますが、それにしても内外の為替や証券市場の日々の変動が、大きすぎると感じています。2009年9月11日のNY同時テロ発生から10年、それ以降の世界の経済指標がとても大きく揺れているのです。
 3年前の9月、NY市場でリーマンショックが起こりました。それは、瞬く間に世界の金融市場を駆け巡り、中国のオリンピック終了後を心配していた世界経済は、肩透かしの状況でアメリカの金融市場と密接に繋がるEU経済が、大きく影響される事となったのです。アメリカ、欧州各国の必死の金融政策対応で、決定的な危機を凌いでは来ましたが、そのダメージは、ことのほか尾を引いており、欧州経済の懸念とアメリカ経済の鈍化傾向が、交互に共鳴し合って、為替特に債権、株式の市場のアップダウンを激しくさせているように感じるのです。
 特に、NY市場を眺めていると、まるでジェットコースターのように、一日置きに大幅な変動を繰り返したりしています。昨日のNY市場のダウ平均は、欧州経済の鈍化傾向を嫌気して、300ドル超も値を下げました。昔で有れば何が起こったのかと、うろたえる程の値幅の変動なのです。しかし、このような変動は、最近、日常茶飯事で、特に面白いのは、翌日の取引では決まって大きくジャンプする確率が高い事なのです。
 随分前から、それはリーマンショックよりずんぶん前からの事に成るのですが、有価証券取引に、高速のコンピューターが導入され、様々な証券のコンピューターによるプログラム売買が取り入れられました。瞬時に大量の銘柄が高速で売買され、一日の取引の傾向でさえ予測し得ない取引となっているのです。その要因の一つは、主に欧米で発達したデリバティブ取引や先物取引にあるのではないかと思っています。先物取引とコンピューターによる高速大量売買が引き起こす、このような、不測の変動が日々繰り返されて、現在の市場を形成しているように思うのです。時系列で見れば、日々のプログラム売買も、本来資本市場の適正な価格に修練すると思われるのですが、はたしてそうなっているかは、私には分りまん。この様な状況下では、個人投資家はとても弱い立場に立たされます。
 この欧米のデリバティブや先物主導の高速で大量プログラム売買が、日本の有価証券市場に大きな影響を及ぼしていて、日本の資本市場の形まで大きく変えてしまったように感じるのです。特にこの10年、様々な国際的な金融と経済の変化に、日本の資本市場が取り残され、どんどん、しぼんで行くのを実感しています。
 このことを振り返って考えると、日本の政治状況がずいぶん大きく影響していると思わずにはいられません。確かに、日本の保守政権の劣化が目に余る状況でしたが、元々、先に、我が国の官僚組織が保身化に向けて劣化していた所に、本来の金融、資本市場から大変遠い、政権運営に不慣れな左派系リベラル政権が、大きな期待と共に政権交代を果たしたのです。
 特にこの3年、世界の経済の激動の中、為替にしても、中国のように、したたかなこだわりを持って国益を堅持する姿勢が、日本政府や金融当局には見られませんでした。このことは、孤軍奮闘していた、日本の物造り中心の産業界を萎縮させ、本来世界に誇れる日本の経済、産業構造さえいびつな形に変形させた感じがします。この結果、経済停滞の中で、為替は大幅な円高となり、国内から雇用がどんどん奪われて行きました。円高のメリットは何処に行ってしまったのでしょうか。
 何と言っても、日本は民主主義の資本主義市場経済で世界に生き残ってきましたが、この先、日本経済が寄って立つ資本市場の劣化をそのままにして、世界経済の中で、日本経済の再構築が出来るのでしょうか。その様な事に、全く、思いを巡らさず、気付もしない未熟な政府が何時まで続くのかと、先行きが思いやらてなりません。
 

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