昨日19日、日本銀行の白川方明総裁は当面の金融政策で、日本国債の買い入れ枠を10兆年増やして80兆円とする、大幅な金融緩和策を発表しました。
日銀の金融政策は、今までも十分緩和状態を維持していると思われるのですが、世界の景気や金融情勢のなかで、常に日本の政策が追い上げられている印象を拭えません。
と言いますのは、9月に入ってヨーロッパ中央銀行がスペインの国債利回りの7%越えなどの危機的状況を踏まえ、域内の国債を無制限に買い入れる内容の決定に踏み切ったのです。更に、9月13日にわ、予てから話題に上っていた米国FRBのバーナンキ議長が、第三次の金融緩和策(QE3)を決定したのです。その内容は、国内の住宅担保証券の月400億ドルに及ぶ買い入れ策と言うものでした。米国の景気、雇用の目に見える改善が成されない中で、連邦準備理事会が早めに追加の対策を発動して来たのです。
この様な、欧州、米国の思い切った景気対策や金融の追加支援策の結果、日本の金融政策に、ジワリと圧力が掛かってきていました。
2008年4月に50歳代で日本銀行の第30代総裁に就任した白川方明氏は、元々、日銀生え抜きで、学者肌の優秀な事務方と言う印象が有りました。福井俊彦総裁の後、政府が提出した国会同意人事で、野党であった民主党の反対にあい政府提出の人事案が否決されました。
福井総裁の退任に伴い、その下で副総裁に就任していた白方氏が昇格する事に寄って、50歳代の日銀総裁が誕生すると言う経緯に成りました。
あれから4年、米国発のリーマンショックが発生し、米欧の金融事情は大荒れとなりました。そんな中で、日銀は急激な円高や国内のデフレによる景気対策にに追われてきたのですが、私見ながら、日本の金融当局の対応策は、どの時点をとって見ても、欧米の後追であった感じを免れないと思われるのです。
福井俊彦前総裁の後を受けて、卒なく極めて慎重に金融政策に当たってきた白川総裁ですが、極めて安全運転に徹した金融政策に誤りは認められませんでした。しかし、結果的には、未だに日本のデフレの克服も、対ドル、対ユーロでの大幅な円高の阻止も出来ませんでした。
又、今回もヨーロッパ中央銀行や米国のFRBの思い切った追加金融政策に促される形で、日銀の金融政策がとられたと受け止める事が出来ます。マーケットは、その直後はサプライズとして反応していますが、過去と同じく日本の政策に独自性が感じられ無い中では、たぶん今回もその効果が長続きして、日本のデフレ対策や景気の振興に大きな影響を及ぼす事は無いのではないかと考えられるのです。
此れまでの、日銀による日本の金融政策に大きな誤りは認められませんが、世界の金融市場で、日本独自の金融政策が評価される事もありませんでした。対応に誤りが無いと思われる分、残念な思いも残ります。又、同時に景気振興やデフレ退治には、金融政策だけでは叶わない事も自明の理ではないでしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿